『正欲』という本を読みました。
仲良しのフォロワーさんから教えてもらったことがきっかけで、調べると映画化が決定しているほど話題の小説。
この記事では『正欲』を読み終えた感想を書いています。
『正欲』を読んだ率直な感想はこちら。
- 誰かに考えを伝えたくなる。
- 納得がいかない。
この2点です。
詳しくは後述しますが、人生で初めて読書感想文を書きたいと思った本で、とても考えさせられる作品でした。
極力ネタバレには注意して書いていますが、多少のネタバレを含みますのでご了承ください。
この本を教えてくれたブログ友達、まついさんの感想記事はこちらです。
『正欲』とは
『正欲』とは2021年に新潮社から出版された小説。
著者は朝井リョウさん。
あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ――共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か? 絶望から始まる痛快。あなたの想像力の外側を行く、作家生活10周年記念、気迫の書下ろし長篇小説。
引用:新潮社HPより
特殊な性癖を持つ人たち。
それを取り巻く周りの人間。
多様性という正義を振り回すことの怖さ…。
SNSの闇…。
正しいとは何か?
みんなと同じことが正しいのか?
10人読めば10人全員が違う意見を出しそうな作品。
内容はもちろんのこと、表現もくすぐられる。
「あ〜わかる〜」という表現から、「わかるようでわからない」表現があり、絶妙なニュアンスで本の世界観に引き込まれていく。
考えを伝えたくなる
- 誰かに話したい。
- 誰かに考えを聞いたもらいたい。
この本を読み終えてまず思ったことだ。
いや、読み終える前、途中から誰かに言いたくて仕方がなかった。
- 本当にこんな性欲あるのかな?
- あのめんどくさい人ってどこにでもいるよね。
- 絶対あの2人はデキてる!…などなど。
誰かに伝えるということは、そこには必ず「誰か」がいる。
この本を読み終えたとき、自分の周りには誰かがいるという安心感が欲しくなった。
それは誰かのそばにいたくなった、ということ。
つまりこの本がくれたのは「寂しさ」だ。
一緒にいたい
この本では、
- 自分は人と違う…。
- 自分は変わっている…。
誰とも分かり合えない部分に孤独を感じ、それを伝えられない悩みが描かれている。
特殊な性癖がその部分にあたる。
でも根幹にある寂しい気持ちこそ、特殊な性癖より悩みなんだろうと自分は思った。
- 自分も他の人と同じがいい。
- 同じ気持ちの人と一緒にいたい。
ごく当たり前の感情だと思うけど、一部の人にとって現実世界ではそれが難しい…。
しかしインターネットの中(SNS)には同じような性癖(悩み・考え)を持つ人がいて、自然と居場所ができる。
便利な時代になったものだが、それがきっかけで物語が結末を迎えるのも皮肉な話だと感じた。
多様性は正義?
他人と同じことで安心する気持ちは「みんな違ってみんないい」の考えとは逆だ。
みんなと違うことを日本人は特に嫌う。
「多様性」の言葉をよく耳にするようになったが、実際は自分と違う考えの人間より、同じ考えの人間の方が居心地が良いし好まれる。
そんな中で多様性が正義のような風潮があるが、本当にそうなのだろうか?
そもそも「多様性」って誰が決めてんだ?
他人と違うことはいいことっていうけど、誰の何をもって正しいと判断してんだ?
わからない…。
本の中には犯罪行為も出てくるが、そこは自分も全力で否定する。
犯罪は犯罪で許さない!
でもその行為が犯罪と決まったのは何故だ?
わからない…。
この社会は正しいと間違いを何で判断してるのか?
わからない…。
考えれば考えるほど自分の考えもまとまらない…。
納得がいかない
結局この本を読み終えたら納得がいかなかったのだ。
スッキリしない結末。
問題提起したまま終わる…。
『正欲』と書いてあるのに『正しい』を示してくれないからモヤモヤする。
この問題は自分で考えなきゃいけないってことなのか…。
誰か答えを教えて欲しい。
そう思ったから…、
だから、読み終えて誰かに考えを伝えたくなったのかも知れない。
あなたの考えも教えてくださいと。
そして気付く…。
誰かと繋がることで、本からもらった「寂しさ」をなくそうとしている自分がいることに。
人は誰でも何かを抱えている
人は誰でも「何か」を抱えて生きている。
性癖だけでなく、不安・悩み・隠し事…、その全てを他人にさらけ出すことは無理だ。
もちろん自分もそう。
- 全てを話して嫌われるのがイヤ…。
- 自分から人が離れていくのが怖い…。
他人がいる世界で他人のいない空間に放り出されるということは恐怖でしかない。
だからこれからも「何か」は出さないように生きていくしかない…。
悲しいかな、それが現実。
でも何も抱えていない人は絶対にいない。
誰もがみんな、人には言えない「何か」を抱えて生きている。
だから、
無理に他人を理解しようと思わなくていいのかもしれない…。
ただ、そこにいる。
それでいいのかもしれない。
難しいことはわからないけど、この本から出した多様性について自分の考えはこれだ。
できれば自分の大好きな人たちは「寂しさ」を極力感じないでほしいと願う。
大好きな人たちに「いなくならない」とは言えないけど「ここにいるよ」とは伝えていきたい。
最後に、本に登場した人物は自分の妄想の中で全員を幸せにしてあげたいと思った。
以上です。
考えをそのまま書いた、まとまりのない読書感想文になってしまいました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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